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2013.05.12雨の日、母の日

しとしと降る雨を見ると、時々母を思い出す。

私が小学生の時。

雨の中傘をさして下校していると、向こうから同じ小学校の先輩が傘を持たずに濡れながら歩いて来た。

もう家がすぐ目の前だったので、私が持っている傘を彼女に貸してあげようとしたのだが、

ひとこと声をかける勇気がでずそのまますれ違っただけで終わった。

帰宅し、そのことを母に伝えると、

「あなたは傘を貸してあげられなかったのね。」

「でも、貸してあげようと思ったの。」

「でも、あなたは貸さなかった 。」

私は何も言い返すことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

そんな母、いい歳した今も平気な顔して服を後ろ前間違えて着ています。

 

 

 

2013.05.09写真旅

望父

 

 

一枚の写真旅。
友人Nが昔から大切に部屋に飾ってあった一枚の写真。
記者だったNのお父さんが取材していたところ「いい髭してるね~」と監督に気に入られ、急遽牧師役に抜擢されたとのこと。

今年の元旦、酒を片手にいかにこの写真は素晴らしいか…云々と御託を並べた私にNが「この父の姿を映像で見たい」と。
そこから写真旅が始まった。
この写真を見て分かるのは
① 中井貴一氏が出演している映画orドラマ
② 結婚式のシーンがある
③ お父さんが髭を生やしていたのは今から20~25年ほど前
④ お父さんの仕事柄北海道と関連がある?
仕事の合間をぬって各々で調べ、夜中の電話会議を重ね、これだ!!と見つけた映画「ラブレター」。
ドキドキしながら見ると写真そっくりの花嫁が北海道にいるシーン。
きたーーーーっ!と二人とも画面にかぶりつく。…が、そこで「完」。漬物石を乗せたかのように肩を落とし、その日はお酒を飲む気もおこらず帰路につく。そしてまた一から研究しなおし、目についたのは中井貴一の制服。
商船高専出身の私は見覚えがあり、これはきっと船舶に関わる人の制服だ。それ故中井貴一氏が海上保安庁飛行士役で出演した「新 喜びも悲しみも幾歳月」ではないかと提案。
Nは年代的にこの映画は違うと思うと反論。そして、探すのに疲れ切ったNはもう無理なんじゃないかと言い出す。
それにカチンときた私は「諦めたらそこで試合終了なんやぞ!」と安西先生のお決まりのお言葉を拝借。いつもならのってくるNだが、相当疲れていたのか「ブルーレイが主流の時代にvhsがたまっていくこっちの身にもなってみろ」と反論。結果、喧嘩勃発。
二人とも落ち着いたころ結局Nが折れてくれ、その映画を見てみることに。願掛けで、Nとお父さんが待ち合わせをしたことのあるハチ公前で待ち合わせ、また親子二人で食べたことのある鰻屋…は予算の関係上諦め、その代わりにラーメンを食す。「景気付けにビール飲もうか?」と私。「絶対寝るなよ」とN。念のため気持ち小さめのビールを選び、お腹いっぱいで鑑賞開始。1時間ほど経った頃、案の定私はいつの間にか…。
心地よい眠りについたとき、Nに鼻をつままれ「苦しいやろが!」と目を覚ますとNが何も言わず画面を指で指していた。そして、指の先には…。

「ほら、私の言ったとおりやろ~!」
「寝てたくせに。」
「……。」
何度も何度も巻き戻し、お父さんの姿を目に焼き付けた。その後二人で祝杯をあげ、Nが一言放った言葉は、
「俺、髭伸ばす。」

私はそのとき、父親の背中を見て育った一人の青年を見た。

一枚の写真から始まった4ヶ月間の写真旅。
素敵な時間をありがとう。